太宰治（だざいおさむ）は、20世紀初頭から中頃にかけて活躍した小説家・詩人です。日本の文学史上、現代文学を代表する作家の一人として知られています。

太宰は、1909年に北海道札幌市で生まれました。幼少期は、父親の激しい暴力や、家庭内の虐待によって苦しんでいましたが、高校時代には文学に興味を持ち、母親から与えられた「ヘッダー・シェリングの詩集」に深い影響を受けました。

太宰は、1927年に上京し、東京帝国大学文学部哲学科に入学します。在学中には、同級生の中原中也や、矢崎節子などと共に、文学サークル「夜の会」に所属して、詩や小説を書いていました。

卒業後は、広告代理店などで働きながら、小説家を目指して執筆活動を続けました。1935年には、処女作「晩年」で文芸雑誌にデビューし、以後、「蟹工船」「斜陽」「人間失格」など多数の作品を発表し、評価を得ました。

太宰の作品は、自殺や病気、愛憎など人間の内面に焦点をあて、深い哲理や人生観が込められています。また、現代小説の先駆けとして、文学の形式やスタイルを自由に変えたり、新しいテーマを導入することで、日本の文学界に大きな影響を与えました。

しかし、太宰は自らの生き方に悩み、酒や薬物に溺れ、多くの女性と浮名を流すなど、壮絶な人生を送りました。1948年には、自殺してしまいます。享年38歳です。

太宰の作品は、現代でも多くの人々に愛読されており、多くの映像化・舞台化がなされています。また、太宰自身の生き方や思想にも注目が集まっています。